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ピラティスの安全神話:「リハビリだから安全」は本当なのか?

2020.02.14 ピラティスを知る

Nahokoです。

本日のブログは、数年前からずっと心の中にあったもの。

思いが強くなりすぎ&濃縮されすぎて、とても簡潔にまとめられそうになく、ブログやコラムの記事として何度も書いてはボツにしてきたのですが、そろそろ少しずつ書いていこうかなと思い始めているこの頃です。

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最近、ピラティススタジオがどんどん増えてきていて、街中やメディアでピラティスの広告を目にすることが増えたように思います。

中でも特に、「マシンピラティス」が注目されているようですね。

ピラティス指導に携わる身としては、ピラティスというものが世間により知られるようになることはとても嬉しいですし、スタジオが増えればそれだけより多くの人がピラティスを日常的に実践できるので、それは喜ばしいことだと思っています。

一方で、この状況で私自身が非常に危うく感じていることがあります。

それは、

ピラティスは、もともとリハビリから生まれたものなので、安全である

と表現されがちなこと。

リハビリから生まれたものなので、誰でもできる、高齢者でも安心、などとも表現されたりします。

でも、ちょっと待って!と言いたい。

リハビリとはつまり機能回復のために行う運動やトレーニングのことですが、運動やトレーニングは 「どのように行うかによって」 いくらでも怪我をすることができる危険性をもっています。

その運動やトレーニングを「安全に行えるように指導する」からこそ安全になるのであり、その運動やトレーニング自体が元々安全なものなわけではありません。

つまり、ピラティスを安全なものにできるかどうかは「指導する側」にゆだねられていて、指導する側の腕次第で、安全なものにもなれば怪我をするようなものにもなりえます。

そのことを、一般のお客様が誤解しているのは致し方ないとしても、指導に携わっている側が間違った認識を持っていてはいけないと思うのです。

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私が「ピラティス自体が安全なものでは決してない」と思っている理由は、私自身がピラティスを通してたくさんの怪我と傷害に苦しんできたからです。

しびれがしばらく残ったとか、捻挫・肉離れ・ぎっくり腰になったとかいう怪我はまだかわいい方で、仙腸関節の怪我とそこから連鎖で発生したいくつかの痛みについては、何年経ってもまだ悩まされていて、現在進行形で戦っています。

マットエクササイズで怪我をしたのも痛かったですが、マシンのバネで怪我をしたのが厄介で、バネには利点だけでなく危険性というものもあるのだと身をもって学んできました。

 

ピラティスといえどもひとつの運動である以上、怪我をするリスクは当然あります。

しかし、誰だって怪我はしたくないですし、ましてや「身体を良くしたい・できれば今抱えている慢性痛を改善したい」などという動機で始められることが多いピラティスであるならば、ピラティスをしたことで怪我をするなんて誰も全く望んでおらず、怪我のリスクなんて想像すらしていないかもしれないのが普通です。

 

では自分は何故怪我をしてしまったのか?と考えると、理由は明確に存在します。

たとえばこんな感じ。

● 自分の身体が十分に強くなかった・準備ができていなかったから
ウェイトが重すぎたとか、アクロバティックすぎたとか、可動域にチャレンジしすぎたなど。
そもそも「そのエクササイズが・そのやり方が、今の自分の身体には合っていなかった」というケース。

● 自分の身体に向ける意識が・知識が足りなかったから
動きに入る前に、少し気を付けて身体をセットアップすることで防げたかもしれないケース。

 

こういう挙げ方をすると、つまりエクササイズを行った自分の自己責任に聞こえるのですが、ここで重要なのは、

どんな環境・状況だったか?

です。

 

振り返ってみると、怪我をした環境・状況はこんな感じでした。

● インストラクター資格を取るために、自分の身体にとって適切かどうかは関係なく、とにかく練習して習得しようとした

● 大人数のグループレッスンに参加していたので、見てもらえるわけがなく、自分なりに取り組むしかなかった

● プライベートレッスンを受講していたが、おそらくは私の職業が「インストラクターだから」「これぐらいできないといけない」という基準で、エクササイズを選択されていた

 

どれもこれも致し方なかったといえるのかもしれませんが、自分が教える側になって数年が経ち、現在の私が痛切に思っていることは、

指導する側が、十分な知識と意識を持って指導にあたるならば、防げる怪我はたくさんある

ということです。

レッスン環境の提供のしかた、エクササイズの選び方、教え方・声のかけ方などが、怪我のリスクを下げることはできるはず。

そのためには、

人間の身体について解剖学や運動学をはじめとした知識を深め、
自らの実践を通して動きへの理解を深め、
クライアントの心身の状態を見抜き、
適切な目標を設定し、
そのための最適なプログラミングを選択し、
そのクライアントの理解と成長を促進するコミュニケーションを行う。

言うのは簡単ですが、行うのは難しく、日々経験と研鑽を積むことしかありません。

自分が抱えているなかなか消えてくれないしぶとい痛みと戦いながら、試行錯誤し、確かな手ごたえを感じつつ、一歩一歩前に進んでいます。

全ては、ピラティスを通してクライアントに自分のような怪我をさせないために。

安全かどうかの基準は、

「ピラティスだから安全」ではないし、
「ここの流派なら安全」でもないし、
「マットだから・マシンだから」安全でもありません。

教える人が、安全に教えられるスキルを持っていて、安全に教えているかどうか。

それに尽きるのではないかと私は思っています。

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ピラティスの認知度が上がるのと並行して、教える側・レッスンを受ける側の双方における「安全性への正しい理解」が進んでくれることを、心の底から願い、祈っています。

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