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教えることの専門性を追求する:(1)見た光景をすぐには直さず原因を探る

2024.03.06 Ola式指導メソッド

Yasuです。

私たちが「どう教えるか」にこだわり、たどり着いた指導法を「Ola式指導メソッド」と呼んでいます。ホームページでは、その特徴を7つの要素に分けてご紹介しています。

そもそも、私たちが教え方にこだわった背景については、ブログ記事「『Ola式指導メソッド』のお話:(1) 私たちが教え方にこだわる理由」に書いています。

今回の記事は、「Ola式指導メソッド」を構成する7つの要素のうちの1つ「”教えること”の専門性を追求する」についてです。その1回目として、『見た光景をすぐには直さず原因を探る』についてお話します。

“教えること”の専門性を追求する

”私たちは、それぞれがコーチングや教育心理学を学び、会社員時代に実践した経験を活かして、「教え方」にこだわった指導を行っています。

受講者ひとりひとりの個性やそのときの精神的な状態なども考えながら、「声がけ」をしています。

「何を教えるか」だけでなく「どう教えるか」について日々お互いの意見を交わし、より良い導き方が実現できるよう取り組み続けています。”

以上は、スタジオのホームページ(リンク)からの転載です。

学ぶ人が思う疑問

みなさんが、人から何かを教わるときの場面を想像してみてください。勉強でも、運動でも、ジャンルは問いません。運動だったら、ピラティスだけでなく、ゴルフや水泳など・・・。勉強だったら、学生時代の学校や予備校、英会話など・・・。自分が習った場面を思い出してみましょう。

先生が「こうした方が良いよ」「この時はこうだから(これが正解だから)」と言われることが多いと思います。

そのとき、みなさんが気づいて、「こうした方がうまく動けるな」「そう考えると問題が解けるんだ」となれば、学習は先に進みます。そして、みなさんはコツをつかんで、次に同じような課題が出されても、克服することが容易になっているはずです。

しかし、「なんで、そうなのかな?」と疑問を持った場合、もやもやした状態で先に進まない経験はありませんか?

学ぶことの本質は、問題の正解を知ることではなく、問題の解き方・考え方を知ることにあるのだと思います。「問題の考え方」とは、考える力と置き換えても良いでしょうね。

問題を理解することが重要

ビジネスのコーチングでは、「コーチは答えを教えない」という原則があります。一般にコーチは、社外から呼ばれる専門家で、社内事情や業界事情には詳しくなく、かつ詳しい必要もありません。

少し話がそれますが、ビジネスコーチが答えを知ることはまずありません。なぜなら、ビジネスで意思決定を行うことがテーマとなる場合、その時点では誰も答えを知りません。

しかし、コーチが「こうなんじゃないか」と思うことはあります。これはコーチの主観。コーチングでは、コーチの主観で答えを導くことは行わないし、行うべきではないとされます。ではどうするのでしょうか?

コーチがさまざまな問いをクライアント(コーチングを受ける人)に投げることで、クライアントが問題を理解・整理し、最後に決定できるよう手助けします。

このように、問題を整理した上で決定、行動することは極めて重要です。

コーチングと運動を教えることは、同じではありませんが、運動を学ぶ人が「問題を整理した上で理解、行動すること」は同じくらい重要です。

運動で問題を理解するということ

ビジネスコーチの例を運動に当てはめると、先生が生徒さんに対して「なんでできなかったと思う?」「どうしたらうまく行くと思う?」と問いかけるのは、有効ではあるものの、すべての人や、すべての状況において良い方法とは言えません。なぜなら、回りくどいから。

しかし、「先生の言った通りに動いたら出来た」だけでは、本当に学んだことにはなりません。

この2つは両極端な例ですが、この中間のどこかに、よりよい方法がありそうです。

(一般的な)運動の場合、先生は正解を知っているという点で、ビジネスのコーチングとは違います。運動の先生は、「こうすればできるのでは」と思って指導をします。しかし、ここに先生の主観が入りやすくなります。

正解を知っている先生が、先生の主観に頼って指導すると、見落としがちな点があります。それは、先生と生徒の間のさまざまな「違い」です。

運動の指導では、何年にもわたって積み上げられたドリルや基礎トレーニングがあって、先生は多くを経験し、出来るようになっています。もともと、運動全般が得意で、数ある運動の中でも指導している種目がとりわけ得意なので、先生になった人も多いでしょう。

中には、できない生徒さんがなぜできないのか、想像が働かない先生もいるようです。できない生徒さんと自分の違いに着目し、できない理由を探っていかないと、正解は伝えることができても、問題の解き方は教えられません。

生徒側からずれば、正しい動きは分かったけど、どう再現したら良いか分からない、となります。

先生と生徒の違いのあれこれ

運動の専門家である先生と、できない生徒さんとの間で、考えられる「違い」には次のようなものが挙げられます。このうちの1つか複数が同時に存在すると考えられます。

  • 身体のつくり(骨格や筋力)が物理的に違う
  • 身体の感覚の違い
  • 神経(脳が身体に指令を出す神経、また身体のセンサー)の違い
  • 運動経験の違い
  • 思考方法の違い(集中力も含む)
  • 理解能力(脳の能力)の違い
  • 怪我など既往歴の存在(現在、過去)

人は産まれながらに違いがあって、同じ身体や感覚の人は存在しません。運動が勉強と違うのは、身体という存在が加わるということで、身体そのものの違いや、身体を動かす神経系の違いも大きな要素を占めます。

違いに着目した運動の指導

1例として、先生側が「できない生徒」を見たときに、その生徒さんが「身体のつくりが原因でできないのか?」「神経系の理由でできないのか?」「思考方法のクセでできないのか」を見極めたとすると、次の一手が次のように変わります。

「身体のつくりが原因」の例は、ある筋肉の出力が少ない場合です。このときは、習うべき動きをシンプルにして、まず筋肉をつけることを先に行います。(鉄棒で)逆上がりする場合の、地面を蹴る力が一つの例です。

「神経系の理由」の例は、速い動きができないとか、タイミングが合わない場合です。キャッチボールでボールが取れない例です。そこで、リズムに合わせて動くとか、遅い動きと速い動きを交互に行うなど、緩急をつけると良いかもしれません。

ちなみに、ピラティスだと、身体のある場所が水平かどうか分からない、筋肉は使えているのに本人に自覚がないという例も、この神経系の違いに含まれます。

「思考方法のクセ」の一例は、慎重すぎる場合や、逆に思慮深さがない場合などがあります。慎重な生徒さんには、考えずに動いても支障がないことを知ることで、脳のブレーキを緩めることが有効だったりします。

問題を整理してあげること

このように、できない理由は複数あるので、「問題を整理してあげること」「問題に合わせて次の一手を提案すること」が、とても大事です。実際には、複数の要素が絡んでいる場合が多いので、こんなに単純ではありませんが、次の一手を順に繰り出すことで、「わかってきたかも」の状態に近づけることが大切です。

しかし、すでに正解を知っている先生は、まず正解を教えたくなります。正解を教えることは必要なのですが、「なんとかできるようにしてあげたい」「早くできるようにしてあげたい」と思う熱心な先生ほど、正解を教えることに必死になり、その裏側に隠れている違いについて気づかない・・・そんな経験をした運動の先生は多いのではと思います。(わたしもかつてはそうでした。)

運動の先生は、すでに動きの正解を知っているゆえ、生徒さんの動きが違ったらすぐに直す・・・

これ、一見よさそうに思える光景だし、教わる側にとっても満足度が高いような話なのですが、後で考えるとなんで直されたか分からない、直された動きを自分ひとりでは再現できない・・・

これは、わたしたちが教わる側になったとき、数多く経験してきたことでもあります。

ケーススタディ

入門的なエクササイズの一つに、バイセップスカールという動きがあります。ダンベルやピラティスのマシンのパーツをもって、腕を曲げるトレーニングです。鍛えると腕(上腕)の力がつくだけでなく、やり方次第で肩の安定を図ることも学習できます。

ある生徒さんは上半身の筋力が少なく、負荷が重いと腕が曲げれない、曲げようとすると手首も曲がってしまう、という例がありました。

その生徒さんは、ピラティス歴は半年あり、腹筋などの体幹が順調に育っていて、理解する力や神経系においてこれまで課題は見当たりませんでした。

上腕の筋力が少ないので、鍛えれば徐々にできるだろうと当初考えたのですが、運動歴が少なく、骨格はやせ型なので、上腕以外の筋力不足を疑ってみました。試しに握力をテストすると、手で握る力がかなり不足していることが分かりました。

生徒さんも、握力トレーニングを行った直後の方が、上腕の感覚が得られると気づきました。握力をつけるモチベーションが上がっただけでなく、自宅でもトレーニングしたいと生徒さん自身が考えて、その方法を教わっていきました。

握力のトレーニングは、すべての人に必要なものですが、ピラティススタジオやスポーツジムで必ず教わるようなものではありません。しかし、握力が足りない人には、あえて行うことで今後教わる様々な動きが良くなるものです。

まとめ

今回のケーススタディは、身体のつくりが(先生と生徒で)違うという例をとりあげました。今後の「Ola式指導メソッド」の記事では、他の種類の違いについても、わたしたちが具体的にどう工夫しているかが紹介できると思います。

運動の先生は、生徒さんができない理由を考えて、「問題を整理してあげること」「問題に合わせて次の一手を提案すること」が大事な仕事で、生徒個人にあわせた指導をすることが必要です。

なお、生徒さん自身が問題を理解すべきか、後から知るべきかは別の問題です。生徒さんの思考方法が、論理的に考えることを好むのであれば、早期に問題を解説し理解をしていただきますし、そうでない場合は後から言うか、まったく言わないという選択肢もあります。(この事例については、また別の記事で紹介する予定です。)

 

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