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自分の筋肉を観察しよう

2022.05.12 身体について知る

Yasuです。

以前に投稿した記事「筋力についてのActiveとPassive」(2021年4月17日)を編集しなおして、再投稿しています。

スタジオセッション形式のレッスンをはじめて今年で4年が過ぎました。その前のグループレッスンをやっていたときよりも、「筋肉を感じるかどうか」をお客さまとやり取りすることが劇的に増えました。

お客さまひとりひとりとレッスン中に話す機会が多いスタジオセッションと、文字通りグループへ働きかけるグループレッスンとの違いが現れる場面ですね。

運動の経験は人それぞれで、動きの感覚や筋肉に対する感覚も人それぞれなので、この問いかけが必然的に増えたのだと思います。

トレーニングと筋肉

一般的に筋力をつける、筋肉を使うトレーニングでは、「使っている筋肉を意識しましょう」と言われます。使う筋肉に意識を向けることで、トレーニングが求める動きがより正確になります。また、本来使うべきではない筋肉を使ってしまうことを避けることにもつながります。

筋肉は使うもの?使わされるもの?

言葉遊びにも聞こえますが、一般に「筋肉をつける」→「筋肉を使う」という言語の変換が起きやすいのでは?と思っています。もちろん、このようなイメージに基づいて、筋肉を使った結果として鍛えていただきたいのですが・・・。

少し視点を変えてみて、物を持つとか、持ち上げるときに、使う筋肉に働きかける人はいるでしょうか?

つまり、物の近くに近づく筋肉を起動させて、指を曲げる筋肉を起動させて、そして指を曲げる筋肉の出力を上げる・・・

UFOキャッチャーを動かすのなら、こういう指令を出すと思いますが、僕たちはただ、物をつかもうとイメージすれば物をつかめるのです。つまり、筋肉は基本的には「使おうと思って使う」のではなく、「イメージした動きを行った結果使わされる」のです。

トレーニングでも同じ

スポーツクラブなどでバーベルや重いウェイトを持ち上げるマシンを使ったことがある人なら想像しやすいと思いますが、筋肉は使わされるというのは、トレーニングでも同じです。

重いウェイトを地点Aから地点Bまで持ち上げるのが運動の目的で、何も考えずに持ち上げます。場合によってはフォームやスピード、呼吸を気にしますが、持ち上げる動作そのものは多くを考えず「ただ持ち上げる」です。この運動を通じて筋肉を感じ、筋肉にまだ余裕があるとか、もう無理と思うことはあります。

ピラティスでも同じで、下腹部を引っ込めることが運動の目的で、引っ込める過程において、下腹部の腹筋を感じることができます。

そうなると、トレーニングで言われる「使っている筋肉を意識しましょう」というのは、「使わされている筋肉を感じ取りましょう」という意味になるのです。

使わされる筋肉を感じ取る能力

筋肉を感じ取る能力には個人差があります。個人差が出る理由の1つに、普段からその筋肉を使っているかどうか、があります。使っていないと、脳がその筋肉を認識する場面が減るので、筋肉を感じにくいのです。

しかし、これまでたくさんの方を指導して経験的に分かっているのは、同じ程度の運動能力の人でも感じ取る能力が高い人と低い人がいます。

例えば、現在50代の運動不足の方がお二人いるとしましょう。お二人とも社会人になってからは運動らしい運動はしていません。一般的に、学生時代に運動部だった人は帰宅部だった人よりも、感じ取る能力がある傾向にあります。しかし、これは平均的な話であって、帰宅部だった人でも感じ取る能力が高い人もいます。

現在に至るまで運動をばりばりこなしてきた人で、感じ取る能力が低い人もいます。

面白いことに、現在に至るまで運動ばりばりの人よりも、学生時代だけ運動していた人の方が、感じ取る能力が高いケースもたくさん見てきました。

おそらく遺伝的な要素もあるのだと推測します。このあたりは実際にデータを取って研究したくなりますね。

感じ取ることが難しい筋肉

個人差のある「筋肉を感じ取る能力」ですが、ある程度の能力があっても、感じ取ることが容易な筋肉と難しい筋肉があります。感じ取ることが難しい筋肉は、これまでの経験則で次のような例が思い当たります。(筋肉の名前は、詳しくない方は読み飛ばしてください。)

  • 背中の上の方の筋肉(広背筋上部、菱形筋、前鋸筋など)
  • 骨盤底筋
  • 太腿の裏側の筋肉(ハムストリングス)
  • 股関節を外旋する筋肉
  • 首の前側の筋肉(胸鎖乳突筋など)

幾つか例を見ていきましょう。

背中の上の方の筋肉:背骨の上の方を伸ばすのに使います。背中の中央部にある筋肉(広背筋)は短くなる方向に使いたいのですが、猫背の人は伸びきっていて、短くする感覚が分からない人が多いです。

太腿の裏側の筋肉(ハムストリングス):普段あまり歩いていない人、座りっぱなしの人は筋肉の感覚が乏しい傾向にあります。歩いていても歩き方に癖がある人。例えば、足を後ろに蹴るような動作がなく、足を前に置きにいくような歩き方の人、がに股歩きの人などは、ハムストリングスの感覚が乏しい場合が多いです。

はじめは「なんとなく」で良い

Olaでは、筋肉の感覚が「ない」または「少ない」人に、感覚が目覚める目的のエクササイズを提供しています。なぜなら、せっかくトレーニングを行っても、感覚が少ないままだと、動きの再現性が高くならず、トレーニングの効果が上がっていかないからです。

とは言え、感覚がない人に感覚を教えるのは結構大変です。動きを促すための道具を利用したり、ご自分の手で筋肉を触ってもらったりします。

動きを促すためのボール類は、大小合わせてさまざまな種類を用意しています。

そして、動いている筋肉がなんとなく分かる、触って(もらって)いたらなんとなく分かる、となればかなり前進です。ここに至るまでに時間を要する人ももちろんいます。なので、エクササイズはなるべく同じものを行い、他人の指示ではなくて自分で動く方が効果的です。

「筋肉を動かさないと」と考えると思うように動かないことに意識が取られてしまいがちですが、「使わされる筋肉をなんとなく感じよう」で良いと考えると少し気が楽です。「なんとなく感じたかも」という経験を繰り返すことで、筋肉を認識する能力が上がっていけば良いのです。

「筋肉は自分で動かすもの」と思っている人はびっくりするようです。

目覚めた筋肉を自分のために使おう

Olaではエクササイズで養った筋肉の感覚を日常生活でどう活かしてほしいかについて、可能な限りお伝えするようにしています。そうすることで、「レッスンで何か教わった」「良い話を聞いた」で終わらせるのではなく、教わったことを自分のものにして欲しいからです。

レッスンのためにスタジオへお越しになれるのは平均的に週1時間、多い人でも週2時間です。残りの6日と22~23時間を有効活用しないと、自分の身体を変えるのには時間が足りませんよね。

ピラティスは地味なエクササイズも多いです。しかし、エクササイズを通して「自分が知らなかった筋肉に出会うこと」「その筋肉を働かせることによって日常の動きを変えること」につなげていってもらえれば、と願います。

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