健康な60代を迎えるために(特に、いま50代の方へ)
Yasuです。
当スタジオのテーマは「健康資産づくり」。この言葉には、健康は一日にして手に入れられるものではなく、少しずつ蓄えたり、先行して投資することが大事ですという思いを込めています。
たまたまここ1年くらいの間に、お客さまのご紹介で60代のお客さまが増えました。自営で仕事をバリバリされている方や、退職して自分の時間を確保した方など、さまざまな環境にいらっしゃるのですが、健康資産の状態で言うと、ギリギリのタイミングで運動を再開/開始した方の方が(この1年の入会者の場合は)多いです。
個人差が多い体力、運動力、身体のつくり
わたしたち人間は、みんな異なり、個性があります。それは身体についても同じ。運動指導を長く行ってきて知ったことは、筋肉のつきやすさ、運動神経(運動への適応力)、持久力、同じことを繰り返し行えるか(性格や集中力と関係)など、人によって大変に異なり、さまざまです。
スタジオに通っている方を観察して思ったことなので、つまり、いま運動をしている方でもそれだけ違うということです。
ということは、いま運動をしていない人を含めるともっと差があるということ。環境要因だけを挙げても、
- 運動を日常的に行っているか
- 運動は何を行っているか
- 1日あたりの活動量(たとえば歩数)
- 1日あたりの座っている時間
- 暇があったら何をする時間が多いか
- 食生活、睡眠時間はどうか
人によって身体活動、栄養、休息のバランスも大きく異なります。その結果、先に述べた筋肉のつきやすさ、運動神経、持久力などは大きく異なってきます。
60代からでも遅くはないが・・・
最近拝見している60代のお客さまは、劇的に運動能力が改善した方もいれば、なかなか改善が進まない方もいます。60代で改善した方を見たら「60代でも遅くはない」と言えるのですが、改善が進まない方もいるのを見ると、「60代まで運動する習慣が少ないのはリスクがある」と言わざるを得ません。
結論を先に言うと、50代になったら運動習慣を見直し、習慣がない方は何らかの運動を始め(かつ続け)、定年や働き方が変わる前に健康のベースを作る方が良いと思います。
ましてや、50代で疲れやすい、痛みや痺れ(しびれ)がある場合は、いますぐに行動すべきと考えます。
統計的に見ると
スポーツ庁が公表した「週1回以上運動する人の割合(2023年時点)」によると、60~64歳の男性は60%、同年代の女性は50%だそうです。
この数値は、60代以降になると年齢が高いほど高くなります。(統計の対象は80歳手前まで。)一方、30代~50代は60~64歳と比べ、総じて低い値を示していました。
30代~50代を「働き盛り」「子育て世代」とすると、忙しくて運動なんかできない、疲れて運動どころではない、という声が聞こえてきそうです。
60代になって自分の時間が増えて運動を再開する、老後の心配が増えて運動を再開する、現象が上記の数値の変化に現れていると推測されます。
おそらくこれが現実で、忙しい50代の人に運動をはじめるきっかけをいかに届けるかが、健康寿命を延ばすための鍵となると思います。
運動指導の現場で思うこと
「思い立ったが吉日」「今日が一番若い日」というように、60代で運動を始めることは悪い話ではありません。しかし、指導した運動が身につくスピードは、大変に個人差があります。
この身につくというのは、
- 動作を理解する
- 反復して行う
- 自ら考えて動く
- 必要な筋力がつく
- 必要な持久力がつく
- 続ける集中力がつく
など多岐にわたります。
60代でも、この多岐な機能を若いときと遜色なく発揮できる人もいれば、少しの間使っていなくて発揮までに時間がかかる人もいるし、もともと(幼少期から)苦手な人もいます。動作の理解は早いけれど、集中力がもたないなど、すべての機能が揃わない人も多くいます。
そう考えても、少しでも早く始める方が機能回復、機能維持の上では有利です。
痛くなる前に予防する
運動を再開するきっかけは人それぞれなのですが、当スタジオに入会する方の多くは「ご家族・ご友人の紹介」「医者や治療院にすすめられて」となっています。
どちらのケースも、すでに痛みがある場合が少なくなく、医療機関や治療院での治療内容をお聞きしながら行える運動を探していきます。
運動により痛みが比較的短期間に和らぐケースもあるのですが、姿勢のくずれや生活習慣の改善が痛みの遠因になっている場合、時間が相応にかかります。
痛みが出るまで「運動する必要性を感じなかった」ということなのですが、整形外科的な痛みはよくある内科系の疾患と違い、薬を飲んだら原因が取り除かれて良くなったというような簡単なものではありません。(注:すべての内科系の疾患が簡単に治るという意味ではありませんので、ご了承ください。)
そういう性質のものなので、やはり痛みがないのに越したことはありません。
痛みを発症する遠因として、運動不足、姿勢のくずれ、同じ姿勢や動作を繰り返す、などが考えられるため、予防的に運動することが必要となってきます。
人生100年時代の折り返し
「50代になったら運動習慣を見直す」とは言うけれど、きっかけがないと人は新しいことに踏み込めないもの。わたしたちが声高に叫んでいても、なかなか届かないという現実があります。
今のところ、当スタジオに限って言えば、家族からの心配がもっとも効果的であると思います。人生100年時代なので、折り返しで運動習慣を見直そうと綺麗にまとめても誰も聞いてくれないですよね。
例えば、すでに会員さんの方が50代になって、50代のパートナーにも運動させたいというケースが最も多いです。女性が男性に薦めるケースが最も多いです。
スタジオとしても、家族からのご紹介だけでなく、何らかの形で声が届くように考えていきたいと思っています。