運動・エクササイズを覚えるジム・トレーニングスタジオ
Yasuです。
先日(2026年4月20日)の日経新聞「経済教室」に、消費スタイルの変化に関する記事が載っていて大変面白かったです。
リキッド消費という用語が紹介されていて、僕は聞いたこともなかったのですが、要約すると次のような感じ。消費の移り変わりが激しく、物の所有にこだわりがなく(レンタルやシェアリング等に抵抗がなく)、体験することによりお金を支払うそうです。若者世代の消費傾向に顕著と紹介されつつ、世代を超えて観察されるとも言われていました。
背景にはデジタル化やモノ(とりわけ贅沢品)への価値観の変化、時短など手間をかけないことを好むなどが挙げられています。SNSやターゲット広告なども、デジタル化と併せて拍車をかけています。
この話から関心を拡げて、「運動が必要と思い立ったとき、運動施設を選ぶ消費スタイル」とはどのようなものでしょうか?
わたしたちのスタジオは、運動を消費ではなく投資の側面で訴えていて、より長期の視点で取り組むという考えを広めています。運動施設を選ぶとき、従来はおそらく注目されなかった「運動を覚える」「エクササイズを覚える」を含めるのはいかがでしょうか?
一般的な運動施設の選択基準
現時点で運動施設を選ぶときの基準は、AIによると次のようなものです。
- 立地:家から近い、職場から近い。
- 目的や種目:ダイエットに強いとか、筋肥大重視とか。ヨガやピラティスなどの種目別もここに含まれます。
- 値段
- その他(混んでいない、スタッフが良いなど)
英語で検索すると上記の他に、清潔かどうか、営業時間、マシンの種類、トレーナーの専門性、アプリの存在など、より多様な意見が見られました。
いずれの場合も、セルフでワークアウトをするか、スタジオプログラムに参加する方法で利用するという前提だと思いました。
運動・エクササイズを覚える人は少ない
Olaに通っているお客さまで、以前に他のピラティススタジオやパーソナルトレーニングジム、フィットネスクラブに通っていたという方は少なくないのですが、代表的なエクササイズ(例えばヒップヒンジのスクワット)をそこそこ正しいフォームで再現できる方は意外にも少ないです。この傾向には年齢差、性の差、運動経験の差はあまりない印象です。
それも無理はなく、そもそも覚える前提でレッスンを受ける機会がなかった、ということに尽きます。
セルフワークアウトであれば、そもそもトレーナーに習う機会すらない場合もあるし、パーソナルトレーニングだと、フォームが良くないときに修正されていたとしても、それを自分で再現しようと思う人が少ないのでしょう。
しかし、将来にわたってトレーナーに見てもらう前提で運動をするのは、コスパが良いとは言えません。仮に、お気に入りのトレーナーさんがいて将来も見てもらおうと思っていても、その人が独立して遠くに行ってしまうことは運動指導業界ではよくあることです。
週に1回ジムに行って、残り6日のうち1~2日は自宅でトレーニングをすると週1の運動習慣よりも質・量ともにかなりトレーニング効果が上がります。だから覚えることは良いのですが、そもそもそのための時間の確保やモチベを維持できる人が少ないという背景もあるでしょう。
覚える前提の運動種目もある
運動教室に少し拡げてみると、ランニングやゴルフなどは、生徒さんが内容を覚える(フォームや練習方法などを習得する)ことが前提です。なぜなら、マラソン大会や親しい人とのゴルフラウンドに、トレーナーは帯同できないしそもそも帯同しません。(特殊な環境にある人やプロ・アスリートを除き・・・。)
なので、運動だからと言って覚えることができない訳ではありません。
しかし、インドアで行えるエクササイズなのに、覚えるという前提で行っている人や施設が少ないというのは現状のようです。
運動・エクササイズを覚える価値:自立する
運動やエクササイズを覚えるメリットはなんでしょうか?まずは、自分で再現できるということです。
ジムに通わない日に自宅でできるとか、旅行・出張先のすき間時間にできるというメリットがあります。なお、正しく覚えていなくても、それっぽくはできますが、ここではそこそこ正しいフォームで行うからこそ、効果があるし怪我のリスクが少ないという点に着目しておきましょう。
一度覚えたエクササイズは、時間の経過によっても忘れにくく、例えて言うなら自転車に乗るのと同じような効果があります。(個人差や年齢による制約はもちろんあります。)
この自立するというのは、災害時などで威力を発揮します。まだ記憶に残っているコロナ禍の話。1ヵ月強スタジオ営業ができなかったのですが、(エクササイズを覚えるレッスンに参加していた)Olaのお客さまは自分で記録したエクササイズのノートなどを見ながら、外出自粛期間中も自分できる範囲の運動を行って、運動不足のダメージを受けなかったという人が多くいらっしゃいました。
運動・エクササイズを覚える価値:身体のしくみや動きを知る
エクササイズそのもの、エクササイズのフォームには、意味や意図が必ずあります。
スクワットであれば、膝が(つま先に対して)中に入らないことは何のためなのか?そのために知るべき足(足首より下の部分)の使い方は?腰はどの程度反っていても許容されるのか?(そもそも腰と腹にはどういう意識が必要なのか?)など。
「なぜ」を知ると自分で気を付けることができます。トレーナーに理由も言われず何度も同じことを直されたら、だんだん嫌になりますよね。自分で理由を知って、気を付けることで再現性も上がるし、効果が得られ、怪我のリスクをマネジメントすることができるのです。
そしてもう1つ。トレーナーは基本的なことから順にアドバイスを行います。基本的なところを身に付けていないと、その先に待っているアドバイスを受ける機会が失われることになるでしょう。より良い、より効果的な、運動パフォーマンスを目指すのであれば、自分で再現するレベルを少しずつ上げることは必須です。
Olaのスタジオセッションは覚えるレッスン
わたしたちが行っているレッスン「スタジオセッション」では、お客さまにエクササイズの方法を覚えていただきます。もちろん、メモを見ながらで良いのですが、そのメモはスタジオが用意するのではなく、お客さまにゼロ(白紙)から作っていただきます。
「なぜ」の部分まではメモしなくても、何に気を付けるべきか、どの重さで何回行うべきか、は自分の言葉やイラストで記録していただいています。
その上で、まずはトレーナーが指示を出す前に動いていただく形式を取っています。
1回のレッスンで細部まで覚えることは難しくても、数週間から3ヵ月くらいの間で徐々にエクササイズの再現性は上がっていきます。
この「覚える」作業は個人差があって、覚える速度はもちろんのこと、覚え方も人それぞれです。
例えば、理解したことを言語に変換することは苦手でも身体が自然に動けてしまう人もいます。逆に、理解したことを言語に変換して覚えるのは1回でできたのに、身体はなかなか再現できない人もいます。どちらが良いのかという話ではなく、その人の個性の違いとして現れます。この話は長くなるので、改めてご案内したい話題ですね。
ここで重要なのは、覚える速さではなく、また覚えていること自体でもなく、覚える過程でエクササイズの目的を知り、自分の身体の強みや弱みを知り、自分なりに長く取り組んでいくということです。
覚えるレッスンが拡がる背景は揃いつつある
ここで冒頭のリキッド消費の話題。消費スタイルの変化には、社会的な背景があります。覚えるレッスンが一般化されていくとして、その背景があるとしたら何だろうか、ということを考えてみたのですが、この内容はそれなりのボリュームになりそうなので、日を改めて投稿できたらと思います。
キーワードを上げておくと、コストパフォーマンス、SNS疲れ、高齢化社会です。
覚えることを重視している運動施設が意外に少ない
先日、運動指導者向けに、Kinetikosさんのプラットフォームをお借りして、スタジオセッションのような覚えることを前提としたレッスンについて、ご紹介する機会(別ウィンドウが開きます)がありました。生徒さんがエクササイズを覚えて、自分で再現しようと試みて、その過程でトレーナーが動きの改善をレッスンしたり、理由をお伝えするようなレッスンは、トレーニングやピラティスの世界ではまだまだ少ないようです。
わたしたちは、このような世界観のレッスンが増えていくような活動もしていきたいと考えています。運動そのものは筋肉を蓄える、すなわち『貯筋』の面があるので、その意味では自分の身体への投資なのですが、やり方や理屈を知っていくことで自分でできるという意味での投資も追求できるのです。
運動によって疲れを手放したり、気分転換したり、楽しかったり、お気に入りのウェアを着て気分があがったりという消費的な要素(これらは長い意味でその人の人生を豊かにするので決して消費と割り切れるものでもありませんが・・・)を否定するものではありません。そこにもう1つの要素を加えてみてはどうでしょうか?
