2014年の開業より、Olaでは少人数制のグループ形式でレッスンを行っていました。「できるだけ参加者ひとりひとりに目が届くように」と始めた少人数制レッスンでしたが、目が届いていたからこそ、次第に私たちの中に「ある思い」が生まれました。
年齢や性別、運動スキル、既往歴や身体の状態、目指しているものは人それぞれ違うのに、全員同じプログラムでいいのだろうか? 人によって身体のクセや苦手なことが異なるのに、全員に対して同じ言葉で教えていて本当に良い結果につながるのだろうか?
本来、身体を改善するためには、自分の身体について理解し、正しい動きを習得するまで反復練習を続けることが必要です。そこで大事なのは、「当事者意識を持ち、自分の身体の問題に対して自分で責任を持って取り組む」という「主体性」です。
しかし、グループ形式では少人数であったとしても完全にひとりひとりに合わせた指導はできず、楽しいこと・飽きさせないことにも重点を置かなくてはいけないため、「理解が右肩上がりに進まない」「当事者意識が育ちにくい」と感じます。動きを反復練習して身体が習得するプロセスを実現するのが難しいため、どうしても動きの再現性が低くなりがちです。結果として、頑張って毎週通い続けてくださっているにもかかわらず明確な成果が出なかったり、主体性が低かったりという現実がありました。
では、プライベートレッスンなら良いのかというと、人によっては「先生に見ていてもらわないとできない」「先生に頼っていれば全部指示してくれる・身体を治してくれる」といったように主体性が育ちにくいことがあり、背景には「1対1の関係性」の影響があるように思います。また、別の側面として費用の問題があり、定期的に続けられる人は限られます。私たちのスタジオ規模ではレッスン枠数にも限界があるため、プライベートレッスンだけを行っていても「ピラティスを通して多くの人を救いたい」という私たちの願いの実現には至りません。
こういった様々な問題点に対する抜本的な解決策を見つけられず悩んでいたとき、ふと思い立ってロンドンに学びに行くことにしました。
ロンドンには、私たちのピラティス指導者への道を最初に導いてくれた「師」であり「メンター」でもある先生のスタジオがあります。ピラティスとは何か、指導とは何か、この道をどう進んでいけばよいのか。彼から最初に教わったことの数々は、それまでの私たちの道のりを根底から支えてくれていました。2017年、レッスンのやり方について悩みを抱えた私たちが、さらなる気づきを求めて彼のスタジオを訪ねて出会ったのが、「スタジオセッション」というレッスン形式でした。
スタジオセッションを初めて見学したときの衝撃はあまりにも大きく、その光景は今でも鮮やかに覚えています。バラバラな背景を持つ参加者ひとりひとりが、自分のやるべきプログラムを持っていて、自分の理解に基づいて自主的にエクササイズを行い、個別にアドバイスを受けながら反復練習に取り組んでいる。どの人も意欲的で、見学した数回のレッスンの中でも明らかに成長している様子が見える。また、教える側もひとりひとりに合わせた指示と説明を的確に行っていて、それが参加者の意欲をさらに引き出すことにつながっている。
そこにはまさに「自分の身体に責任を持つ」という主体性があり、私たちが従来のレッスン指導の中では実現できずにいた世界がありました。出会った瞬間に「ついに探していた答えを見つけた!」と思いました。スタジオセッションならば、ピラティス以外の部分で私たち自身が持つ知識や経験をさらに活用することができ、目指しているものを最大限に具現化できるのではないかという可能性も感じました。
私たちもぜひこの形式でレッスンをやりたい。どんな仕組みなのか、何を準備したらよいのか、先生にたくさんアドバイスをもらいました。自分たちがスタジオセッションを行うとしたら、どのような工夫をするのか?ロンドンと東京の違いも踏まえながら、「Olaならではのスタジオセッションのやり方」を創るために様々なプランを練り上げました。
そして2018年の初め、ついに私たちのスタジオセッションがスタートしました。開始から数年を経て、Olaのスタジオセッションは日々進化しています。
私たちは二人とも、今あるものをより良くすること、工夫すること、創り出すことが大好きです。私たちが学び、教え続ける中から、Olaのスタジオセッションはこれからもまだまだ進化を続けていきます。