TRXとピラティス
Yasuです。
今年(2025年)の春、スタジオを拡張した際に、TRXを新たに設置してレッスンで活用しています。
TRXは以前より自分たちのトレーニングに使っていたのですが、その指導資格は持っていなかったので、6月上旬にTRXのトレーナー養成コースを受講したのがすでに遠い昔のことに思います。
写真提供元:株式会社ブラボーグループ
TRXとは?
TRXは、天井などの高いところにロープ状の道具をぶらさげて行うトレーニングです。長いロープを腕や脚、体幹などで支えるときに、身体が不安定になるので、自然と安定させる感覚を養ったり、それに必要な筋力を鍛えます。TRXについて知りたい方はコチラ(TRXのサイトが開きます。)
このようなロープ状の道具を使うトレーニングは、一般的にサスペンショントレーニングと呼ばれています。
TRXは、アメリカ海軍の人が、どんな環境(例えば任務待機中の船内など)でも身体を鍛えられるように、パラシュートのストラップなどを利用して造ったと言われており、このストーリーだけでトレーニングオタクの心を揺さぶります。
こう聞くと遠慮・敬遠する人もいそうですが、TRXは商品化にあたりどんなレベルの人でも使えるよう、エクササイズは豊富に用意され、道具も使いやすく発展してきました。
TRXとの出会いと再会
わたしたちがTRXにはじめて触れたのは、実はかなりさかのぼります。まだ、Olaのスタジオを開業する前(今から10数年前)のこと、当時ピラティスの資格を取るために通っていたスタジオで、「ピラティスではないけれど面白いトレーニングがある」と紹介されたのがはじめてでした。その後すぐに入手し、自宅の練習場所で自分たちのためだけに使っていました。
しかし、Olaのスタジオを開業すると、ピラティススタジオと名乗っているのでピラティスを中心に教えるようになり、また開業当時はグループレッスンが中心だったので、TRXに触れることがなくなっていました。
2018年にスタジオセッションを開始し、身体を良くするためのエクササイズならピラティスに限定せずにレッスンに取り入れよう、という路線に自然かつ次第にシフトする中で、今回のスタジオ拡張の話が決まります。
また偶然、昨年から自分たちがパーソナルトレーニングを受けていく中で、TRXを再び使うようになっていました。
TRX導入への1つのハードル
スタジオ拡張が決まったときは、まだTRXを設置するプランはありませんでした。TRXは、建物の躯体に深いボルトを打って固定する必要があります。自宅などで個人ユースで使う場合は、ドアの枠などを利用して簡易的に設置することが可能なのですが、不特定多数の人が利用する営業ベースのトレーニングではそうはいきません。
スタジオ拡張にあたり、スタジオデザインを担当してくださった空デザインさんのオフィスに通っていると、なんとオフィスにTRXが設置されているではありませんか?
聞くと、代表の方が自分のトレーニングのために設置していて、その方のクライアントのスポーツ施設において多数の設置事例があるとのこと。TRX設置のための情報に乏しかったので当初は検討すらしていなかったのですが、これなら安心してお任せできます。
そして指導資格の取得コースを調べてみると、運動関係の教育プログラムにおいて10年以上お世話になっているKFXのかおりさんがトレーナーを務める指導者養成コースが6月にあるという・・・。これは設置するしかないし資格も取るしかないと思った訳です。
TRXのメリット
TRXというトレーニング器具単体で言えば、サスペンションが身体を不安定にさせるので体幹のトレーニングに良いことがまず挙げられます。
体幹のトレーニングという点ではピラティスも同じなので、面白いからというだけでトレーニング器具を増やすのは安易と言われかねません。
わたしたちがグループレッスンを中心に経営をしていたときは、ピラティスの師匠から「扱う器具をむやみに増やすのは、クライアントが飽きているだけではないのか」と言われ、考えさせられたことがありました。
そこで慎重にTRX導入について整理したところ、TRXは一般的なピラティスのエクササイズに対して
- 立って行うエクササイズが多い
- 引く・押すエクササイズが多い
- バネのフィードバックを利用しないで安定させる能力の向上
- ぶらさがりを利用したストレッチが多い
などの特徴があり、学べる幅が広がると考えました。これは比較的初級と言われるエクササイズでも得られそうなところが魅力的でした。
バネを利用しないことの意味
ピラティスマシンのバネは、その物理的な特徴が大変ユニークです。それは、バネの長さに比例して力が必要となるということ。フックの法則として知られています。
バネを引く運動を例にすると、そのバネが伸びはじめるときは小さな力で良く、このときにバランスを取ったり、関節の安定を図ったりすることに意識を向けることができます。このことこそが、ピラティスマシンの良さではないかとわたしたちは考えてきました。
ジョセフ・ピラティスさんがそこまで計算してマシンを設計したのか、それとも身近にあったベットパッドのスプリングを外して手っ取り早くマシンを作ったのか、その意図は定かではないのですが、いずれにしてもピラティスマシンの最大の特徴はバネだと思っています。
バネはわたしたちの生活のいろんなところに活用されています。例えば、ゆっくり閉まるドアとか、パソコンのキーボード・・・。しかし、常にバネが存在する訳ではないし、不安定な足場やスポーツの現場など、バネが手助けをしてくれる状況はあまり存在しません。
そこで、ピラティスマシンで得た身体の使い方を、バネのない場面でも使っていくトレーニングが必要と考えたのです。
拡張後のスタジオでのTRX
ピラティスとの相乗効果
既に触れたように、この他にもTRXならではの効果はたくさんありますが、今回は既に長くなったので割愛させていただきます。
そのうちの1つとして、立って行うエクササイズが(ピラティスよりも)多いTRXですが、不安定なサスペンションを安定させるためには足(足首より下の部分)の安定が重要で、例えば足のアーチが機能的になっていることが必要です。
そうした土台作りをピラティスや他のエクササイズで向上させて、TRXで実践するようなアプローチを取っています。


