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「眼」の使い方を工夫する

2020.08.12 身体について知る

Nahokoです。

本日のブログは、先日スタジオセッションのお客様とお話していた話題をみなさまにもシェアしたいと思います。

ピラティスのエクササイズを行っているとき、身体のより良い動かし方を導く上でひとつの大事な鍵となるのは、

「眼の使い方」

です。

眼球の動きは頭蓋骨の動作に直結していて、眼が「何かを・どこかを見る」という動作を行ったとき、視線に連動して頭蓋骨の位置は動きます。

たとえば、あおむけから起き上がろうとする(チェストリフト)と、眼から前に出ようとしてしまうとか、床に手をついたプランク姿勢からプッシュアップを行おうとすると、眼から床に近づこうとしてしまうとか。

これらはどちらも、頭と首の位置が眼に引っ張られて前に出てしまう、という結果になります。

また、うつ伏せから上体を反らす(バックエクステンション)際に、眼から起き上がろうとして顎が上がり、首の上部だけに負荷がかかっているケースもよく見かけます。

こういった「眼から先行して動いたために頭の位置が良くなかった」場合、エクササイズの本来の目的であった「動かしたい・鍛えたい場所」に負荷がかからず、エクササイズの効果が下がります。

効果が下がるだけならまだいいのですが、エクササイズによっては頭蓋骨の重さを支える頸椎に過度の負担がかかってしまうため、痛みや傷害が発生する危険もあります。

頭蓋骨は、頸椎の上につながっている背骨の一部で、頭は5kgぐらいある重たい物体であるため、頭の位置や動作はそのまま頸椎の形状や動作に大きく影響します。

背骨全体の正しい形状や動かし方を考える上では、「頭蓋骨=ひとつの椎骨」として存在をとらえ、頭という椎骨だけが独立して妙な動きをしないように気を付けなくてはいけません。

だとすると、避けたいのは「眼」の動きが先行して頭蓋骨がまず引っ張っられてしまうこと。

今、自分の「眼」がどうなっているか?何を・どこを見ているか?をコントロールすることが、頭蓋骨の位置や動作を正確にする鍵となります。

 

「眼」をコントロールするときに、私がおすすめしたいテクニックがあります。

それは、眼は開いているけれど、何も見ていないこと

眼をカメラや顕微鏡のレンズと同じようにイメージし、焦点(ピント、フォーカスともいいます)をどこにも合わせないでぼかすことで、アンダーフォーカスの状態にします。

アンダーフォーカスのやり方は慣れると簡単なのですが、私の感覚は、眼球が眼窩の奥に格納されているような状態です。

何かを見ようとすると眼球はどんどん前に飛び出てきて、眼を見開いてしまい、まぶたにも力が入りますね。

アンダーフォーカスはその逆で、眼球を後ろの方、眼窩に戻してあげることで、まぶたの力みをゆるめ、視神経をゆるめます。

これは「眼をソフトにする」とも言われますが、やってみると本当に眼の周りが柔らかく楽になったように感じます。

 

(ちなみに、ちょっと難しい話ですが…

アンダーフォーカスにしたとき、焦点が何にも合っていないので本当に何も「見ていない」のかというと実はそうではありません。

視界はむしろ広くなって、景色が眼に飛び込んでくるような感覚になり、「見ていない」けど「見えている」という状態。

言い換えれば、視覚情報を眼が積極的に取りに行っているわけではなく、視覚情報は眼を通過して脳に勝手に入ってくるようになり、「眼ではなく、脳の後ろ側(後頭部)が景色を見ている」という感覚になってきます。

私も過去にこのトレーニングを受けて少しずつ練習し続けているのですが、脳で景色を見ているような状態になると、むしろ情報量も判断力も上がってくる気がするのがとても興味深いです。

と言っても、経験したことがないと全く伝わらない話ですよね… すみません)

 

さて、アンダーフォーカスで眼をソフトにしたら何が起こるかというと、自分の脳が、眼で見る「視覚情報」に頼らず、身体から伝わってくる「身体感覚情報」の方をしっかり受け取ってくれるようになります

頭の位置はどこか、背骨は今どんな形か、肩の状態は、足はどうなっているか。
動かしたい場所はどこか、動きはどの関節から生じているか、どの関節が安定しているか。

そもそも肩甲骨ってどこ?股関節ってどこ?といった「ボディマップ(身体地図)情報」もより繊細に受け取れるようになりますし、ボディマップを元にして自分の意思で身体の各パーツに命令を送ることもより正確にできるようになります。

かっこいい表現をするならば、「自分の身体と語り合えるようになる」とも言えるかもしれません。

そして、この「自分の身体と語り合える」ということは、そのまま「今、ここにいる自分を感じる」ということにつながります。

今この瞬間、自分はどこにいて、何を経験しているか

つまり、「マインドフル」な状態です。

 

私たちは、常にスマホやTV、新聞や書籍を使って、情報を眼から仕入れます。

しかし、現在のコロナ禍のような状況になってみると、先行きが「見えない」のが不安という話になりますよね。

いつも眼に頼って生きていて、今の自分を眼で判断する世界の中に置いてしまうと、見えないことは当然不安につながりますし、今自分がどこにいるのか、どうなっていくのか、ただただ恐怖に感じてしまいます。

眼に頼らずに自分の身体を感じ、身体を通して今ここにいる自分を感じてみると、不思議と気持ちが落ち着いてきます。

世間がどうであろうと、人がどうであろうと、自分は自分でしかない。

自分にできることは、自分を信じて、自分のベストを尽くすしかない。

自分の身体を作っている・動きを制御しているのは自分だし、自分の身体を守るのも自分しかいない。

こんな心境になれたなら、たとえコロナ禍の最中であろうとどんなときでも過度に動揺せず、ただ淡々と自分のやるべきことに集中し前に進めるのではないかなと思います。

 

マインドフルな状態を実感するには、ピラティスのような身体動作を行う際に、使いやすい「眼」ではなく、身体感覚をよりたくさん受け取って、身体と語り合ってみることがひとつのコツです。

身体感覚を正確に使えるようになると、当然エクササイズの実践スキルが向上してトレーニング効果が上がります。

また、集中力を必要とする上級エクササイズの世界にも足を踏み入れることができたりして、より一層「ピラティスの楽しさ・奥深さ」を感じられることと思います。

 

「眼」の使い方、ご興味のある方はレッスンでぜひお声をかけてくださいね!

眼の使い方をマスターしておくと、日常生活においても緊張を感じたときに眼の使い方を切り替えてみるだけでふっと気持ちが楽になれるので、とてもおすすめですよ~!

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